あぁぁまたやってしまった
柔軟剤を入れるとこに液体洗剤を入れ
液体洗剤を入れるとこに柔軟剤を入れてしまった
そんなケアレスミスなんてありえない?
いやいやいやアリエールのだ!
○ 洗い
○ おすぎ
○ 注水
○ 脱水
もうすすぎがおすぎにしか見えない
おすぎが洗濯機の中をぐるぐると回り溺れている
僕が手を差し伸べようとすると
「おだまり!」
とおっさんの顔で睨まれ「ハッ!」と我に返る
またやってしまった
洗濯なんて洗剤入れてピピピッとボタン押すだけなのに
気を抜いてしまうとすぐにおすぎが現れ邪魔をする
おすぎのバカ!
今日も朝からおすぎと散歩
10月も終わるというのにブヒブヒとつゆだくで歩くボブ
朝夕と少しずつ涼しくなってますけど
夜の散歩でもブヒブヒしてるボブにはまだ秋が訪れる気配がない
それにしても毎日同じ道を散歩して楽しいのだろうか?
まぁボブが楽しければそれはそれでいいんだけど
もう飽きた
この二年間毎日毎日同じ道を歩いて
同じような写真を撮って
同じようなブログかいて
もうつまらない
三回まわってワン!
ヴゥーワンワンワン!ワォーン!
どうしましょうか?
散歩の楽しみ方を忘れてしまったような
ホントに飽きてしまったような
どうしましょ?
脳みそがガチガチに固まっているので足の裏のツボを
点字ブロックにグリグリと押し付けながら
歩いてみる
何か面白い事が浮かぶかもしれないと思ったが
ボブにぐいぐいと引っ張られてよろけて倒れてしまった
子供の頃点字ブロックを綱渡りして歩いてたら
知らない所についてたりしましたよね?
漢字の書き取りなんかやってると
汚い字でノートいっぱいぎっしりと書きすぎて
山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山
山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山
山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山
あれ?『山』って漢字こんなんだっけ?
ってなりましたよね?
真っ赤な郵便ポスト見つけたらビクビクしながら手を突っ込んで
オレは正直者だと安心しましたよね?
「ねぎ買って来て」とお使い頼まれてニラを買って帰り怒られましたよね?
歯磨き粉の中身を全部出してマヨネーズに入れ替えたりしまたよね?
寝ている親父のおでこに「肉」って油性のマジックで書きましたよね?
夏休みに公園で捕まえたセミを可哀想だからと映画館の中で逃がしてあげたりしましたよね?
僕はそんな少年時代を過ごしてはいませんが
大人になった今でも
いまだに銀行に行くと喉も乾いてないのに冷水機の水が飲みたくなったり
渡りもしない横断歩道のボタンを押したくなったり
コンビニのレジで並んでる前の人の膝をカックンとしたくなる
こないだ久々に瞼をグリンと裏返しにして幽霊の真似をしようとしたらできなかった
何度も瞼を引っ張って裏返そうとするけど痛くて断念した
アレは子供だからできるんだな
30を過ぎた大人のやる事じゃない大人には大人の楽しみがある
仕事と散歩で塗り潰される日々の生活をぼんやりと過ごしていては
楽しみなんて見つかるはずも無い
芝生に寝転んでボブと戯れてみる
見上げた空はいつもと同じ色で
睨みつける太陽を睨み返すボブの顔もいつもと変わらない
何も変わらないのですれ違う人に挨拶をしてみる事にした
「おはようございます」と
朝9時に歩いてる人なんてそんなにいませんが
ジョギングやウォーキングをしている人がちらりほらりと歩いてる
「おはようございます」
みなさん爽やかな笑顔で返してくれる
川岸で釣りをしてるおじさんにも
「おはようございます」と話しかけてみた
厳しい顔で「おはよう」と吐き捨る
「川汚いよね。街は奇麗になっていくけど川は汚れていくさー」
と少し不機嫌な様子
人は良さそうだし間違ってる事も言ってないんだけど
ドロドロと泥のように愚痴ばかりこぼすので
退散
すると妙に姿勢よく自転車に乗ったおじさまが立ち止まり話しかけて来た
「これブルドックですか?」
「フレンチブルドッグですよ」
「へーそうですかぁフレンチブルドッグなんですねぇ逆にねぇ」
「逆にですか?」
「はぁーはぁーいって逆に暑そうですねぇ」
だからなんの逆なんだろうか?
「逆に沖縄で飼うのは大変でしょうねぇ」
とキラキラした顔で年下の僕に敬語を混ぜながら「逆に」を連発
「逆に一人暮らしですとこちらのタイプがよろしいかと」
「ビールも十分入りますし逆に製氷機もありますので」
「ええ、はい、料理もなさいますか?でしたら逆にこちらの」
「野菜室もありますから逆に使い勝手もよろしいかと」
「そうですか、予算がオーバーしてるのであれば逆にこちらのタイプが」
「それか逆に省エネタイプのこちらですと長い目でみると逆にお得かと」
公園の真ん中で家電の接客されている気分にもなったけど
僕に「何の逆なんですか?」という逆質問をさせない
おじさんの人なつこい笑顔が逆に気持ち良かった
「有り難うございました。またお越し下さいね!」
とは言いませんでしたけど
自転車を降りて深々とお辞儀をするおじさんに
こちらも負けじと
「いい買い物ができました。また宜しくお願いしますね!」
とは言わずに
何回も振り返りおじさんよりも深くお辞儀を返して公園を後にした
散歩を終えて月に一度のおじーおばーのcut
デイケアに向かった
「人生でやり残した事はありますか?」
という質問を80歳を過ぎたお年寄りに聞いたところ
80%以上の方がやり残した事がある「はい」と答えたと何かの本で読んだ
なんかおじーおばーの髪を切りながら
一人一人の顔を見てると
明日から真面目に頑張ろうと思った
ドロドロと愚痴をこぼすのは楽ちんなのかもしれないけど
逆にキラキラした顔してたらきっと周りの人も楽しいんだなと