ボブ初体験

necohair

2008年08月08日 22:02



番犬ボブが新聞配達の気配に気づいて

「毎朝ご苦労様です」と吠えている

5時55分まだ寝てたい

TVをつけるとめざまし天気のあいちゃんの笑顔

うっとりしてるうちに二度寝

いつの間にかあいちゃんが天達になってた

ガッカリしながら体を起こすけど

爆弾低血圧の僕は朝だけ体内時計が

ダリの描いた時計のようにグニャグニャだ

目を覚まそうと熱いシャワーを浴びながらボケーと考える

あの天才サルバドールダリはどんな顔で歯を磨いていたんだろうか?

気になる気になる

やはりダリは左利きだったに違いないと歯ブラシをヒダリ手に持ち替え

白目を剥いたり目を細めたり口を大きく開けたりすぼめたりするけど

鏡の中にはおばさんみたいな男が変な顔で歯を磨いてる

天才には程遠いので今度は

髪の毛をオールバックにしてコルゲートでピンと跳ね上がる口ひげを描いてみる

やはり変態にしか見えない

ダリを口の中でクチュクチュ濯いでボェーっと吐き出す

「あー体ダリー」

結局ダジャレでやり過ごす

アー寒い

時計の針も凍り付いてしまった

凍える心と体を励ますように

バスタオルでゴシゴシ拭いてシャワーを出ると

コソコソとボブがゴキブリの様にテーブルの下に逃げ込んだ

覗いてみると

空腹を満たそうとテッシュをむしゃむしゃ食べてる

やはり天才犬は違う

止めさせようと両手で捕まえようとするけど

ぐっと身を固めて動かない

どうしようかと手を離した瞬間に

飛び出して部屋中を走り回るボブと鬼ごっこ

素早いボブを捕まえる事が出来ず

もういいや「テッシュでも何でも食べたらいいさ」勝手にしろよと諦めて

新聞を床に広げてたらトコトコと奴がやって来て

読んでる記事の真ん中にドスっと座る

朝帰りで浮気がバレたダメ亭主の顔で上目使いのボブ

淡々と新聞を読む浮気された妻の気持ちのオレ

あー悔しー信じてた私が馬鹿だった

もう知らない!と手でどかしても又トコトコきてドスっとダメ亭主

無視して端っこの記事を読んでたら僕の鼻の辺りをペロリと舐めた

和解成立

「ボブちーん!ファイオーファイオーファイオー!」

高校球児に負けじと二人で円陣組んで気合いを入れて出勤散歩





勢い良く家を出たのはいいけど

何やら雲行きが怪しい

そういえば天達が、いやあいちゃんが沖縄はくもりのち雨と言っていた

雨が降る前にお店に行こうとスタスタと歩いてたら



お花のテイスティングに夢中

しばらく見てたら



パクって食べた

ダメだよ!と雷落としたら

「ゴロゴロゴロ」

遠くで本物の雷が鳴っている

僕のお腹もボブのお腹もゴロゴロ鳴っている

みんな腹ぺこだ早く戻ろう

お店が近づくにつれて立ち止まろうと必死のボブ



ドッグランがしたいのか?もっと遊びたいのか?

そういえば夏休みに入って何処にも連れてってあげてない

しょうがないのでモノレール駅のエレベーターに乗せてあげる事に



エレベーター初体験



ソワソワして落ち着かないボブ



短い時間だったけど少しは楽しめたかな?

やっぱり子供騙しだったようで背中を向けてそそくさと先に降りてった



雷の音が近づいてくる

ダラダラと書き進めてきたのがいけなかった着地地点が見つからない

右を見ても左を見ても落ちが見当たらない

どうしましょ?どうやって終わればいいのかしら?

空を見あげると鉛色の雲が押し寄せて重たい空気に気分も暗くなる

ポツポツと降り始めた雨が一瞬にしてどしゃ降りだ